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秋田地方裁判所大曲支部 昭和60年(ヨ)61号

債権者

藤井均

藤本幹雄

三浦正

高橋光弘

栗沢裕子

佐藤美智子

佐藤きみ子

谷藤悦子

右債権者ら代理人弁護士

沼田敏明

虻川高範

高橋敏朗

債務者

東邦技術株式会社

右代表者代表取締役

石塚旗雄

右債務者代理人弁護士

善方正已

主文

一  債権者らが債務者に対し、雇用契約上の権利義務を有する地位を仮に定める。

二  債務者は債権者らに対し、昭和六〇年一一月以降本案判決言渡しまで毎月二八日限り、別紙賃金債権目録記載の金員を仮に支払え。

三  申請費用は債務者の負担とする。

理由

第一申立

一  債権者ら

主文同旨

二  債務者

1  本件仮処分申請をいずれも却下する。

2  申請費用は債権者らの負担とする。

第二当裁判所の判断

一  債務者が公共事業を中心とする建設コンサルタント、地質調査、測量等を業とする株式会社(以下「債務者会社」という。)であり、債権者らがいずれも債務者会社の従業員であって、債務者会社より毎月二八日に別紙賃金債権目録記載の賃金の支払いを受けていること、昭和六〇年一一月五日付をもって、債務者会社が債権者らを整理解雇したことは当事者間に争いがない。

二  そこで右整理解雇が正当であるか否かについて検討する。

1  およそ整理解雇が正当であるといいうるためには、第一に従業員を解雇することが企業の合理的運営のためやむを得ない必要に基づくものであること、第二に解雇に先立ち退職者の募集等解雇回避努力がなされたこと、第三に具体的な解雇対象者の選定が客観的合理的基準に基づくものであることの各要件を充足することを要すると解すべきである。

2  よって、まず第一の要件について検討する

(一) 本件疎明資料を総合すれば以下の事実を一応認めることができる。

債務者会社は系列会社有限会社東邦コンサルタント、有限会社東邦測量、有限会社東邦地質コンサルタント、株式会社東邦技術(仙台)及び有限会社東邦技術コンサルタントとともに前記のとおり、もっぱら、国、地方公共団体から受注を受けて建設土木工事について調査、設計の業務をおこなってきたが、昭和五五年度以降受注が横ばいとなり、昭和五六年度からは決算が赤字となった。そこで債務者会社は、東京支社を廃止し、役員報酬を減額し、新規採用を中止するなどして事業規模を縮少、経費を削減してこれに対応した末、昭和五九年一〇月三日、債務者会社一二名、系列会社一二名の減員及び債務者会社と系列会社の合同を主内容とする会社再建計画(第一次再建計画)を従業員に提示した。

その後、昭和六〇年一月債務者会社及び従業員のそれぞれの代表者各五名を構成員とする会社再建委員会が設立され、二〇回にわたり協議を重ねたが双方の意見がおりあわず、同年四月解散となった。

さらに、同年一〇月八日債務者会社は二一名の減員を主内容とする第二次再建計画を立案、従業員に希望退職を募集した。しかし、六名が右募集に応じたのみであったため、同年一〇月二八日債務者会社は債権者らを含む一三名に対し、整理解雇の通知をなしたところ、五名が退職に応じ、結局、債権者らが整理解雇された。

この間債務者会社で一三名、系列会社で三十数名の減員がなされている。

(二) 右の事実関係によれば、債務者会社は経営危機に陥り、人員削減を含む合理化をする必要があったと一応認めることができる。しかしながら、前記のとおり当初の債務者会社の再建計画は、債務者会社一二名、系列会社一二名の減員を目標としたものであって、その減員数の当否はしばらくおくとしても本件整理解雇時には、債務者会社一三名、系列会社三一名の人員が削減され、減員についてはその目標が達成されていたのであるから、わずか一年余の間に減員を九名増加させる必要性があったかという点について検討されなければならない。

この点につき債務者会社は、第一に本件整理解雇時である昭和六〇年度の受注が前年以前に比し、大幅に下落する見通しであり今後も増加は見込めないこと、第二に債務者会社の現業部門の収益率が悪いこと、第三に残留した従業員の雇用条件を現状どおり維持する必要があったこと、第四に人件費が削減され赤字が解消できること、第五に債務者会社の賃金の減額等の建設的な再建策を債権者らが拒否したことを理由として二一名の減員が必要であった旨主張するが、疎明資料によれば、第一の点については、これに沿う資料、陳述書も存するが、債務者会社のこれまでの受注実績に比し、昭和六〇年度下半期の出来高が極めて低いことなどからすれば、これは労使紛争等による一時的な状態とみうるのであって、減員増加の合理的な理由とは認められない。又、第二ないし第四の点については第一次会社再建計画と第二次再建計画との間に出来高の点を除いては特段の変化が認められず、第五の点については、債権者らも賃金の減額等を内容とする再建案を提示しているのであっていずれも合理的な理由とは認められない。したがって、本件における整理解雇の必要性は未だこれを認めることはできず本件整理解雇は理由がないものということができる。

三  次に債権者らが債務者会社より毎月二八日に別紙賃金債権目録記載の賃金の支払いを受けていたことは前記のとおり当事者間に争いがないから、本件においては、右金額をもって債権者らの一か月当りの賃金額と一応認めるのを相当とする。又、本件疎明資料によると、債権者らが債務者会社からの給与を生活の資としており、本件仮処分の必要性も一応認められる。

四  よって本件仮処分の申請は保証をたてさせないでいずれも認容することとし、申請費用の負担について、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり決定する。

(裁判官 卯木誠)

賃金債権目録

<省略>

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